直葬について

昨今「色々な考え方が有りますから」という言葉が事あるごとに乱用されているきらいがある。

「直葬で戒名をつけて欲しい」「戒名を四十九日の時につけて欲しい」「四十九日は葬儀の式中で読経して欲しい」
こんな事を言われた御寺院様も少なくないのではないでしょうか。

ご存知ない方の為に説明させて頂くが、直葬とは、通夜、葬儀全て省略して火葬炉の前でのみの読経で所要時間は5分前後です。戒名をお授けする為には引導作法を修し、仏弟子になって頂く事が必要である。
葬儀自体の所要時間はどんなに短縮しても30分、最後のお別れをしていだだきご出棺も含めて1時間である。

直葬では言うまでも無く引導作法の時間もない、仏弟子になることを拒みながら、仏弟子としての名前(戒名)を求め、成仏を願う・・・。大変な矛盾である。

その事をご指摘申し上げると冒頭の言葉が出てくる。仏様の教えも「色々な考え方」の一つなのでしょうか?
その方の「考え方」とは仏の教えと同等なのでしょうか?
そこには「教えを尊ぶ」心は微塵も感じられません。

倫理観や道徳よりも個人のそれぞれ異なる見解が優先されるのが当然であるような風潮に危機感を覚えるのは私だけでしょうか?